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#009 M’sコラム 木造住宅の耐震性能について考えるコラム 「木造住宅の構造安全性確認方法について」
木造住宅の構造安全性確認方法
木造住宅の構造安全性確認方法には、図のように3通りの方法があります。
■構造計算(許容応力度計算)
建築基準法に規定されている許容応力度計算は、木造で階数3階建てや延床面積500㎡超の建物の構造安全性を確認するために行う計算方法です。安全性能は3通りの計算のなかで最も高くなります。
■性能表示制度 耐震等級設計
品確法に規定されている性能表示制度の耐震等級設計は、性能表示住宅や長期優良住宅の安全性確認方法となります。耐震等級設計では、建築基準法で求めている耐震性能を「耐震等級1」、建築基準法で求めている耐震性能の1.25倍の耐震性能を「耐震等級2」、1.5倍の耐震性能を「耐震等級3」と定めています。
■仕様規定
建築基準法に規定されている仕様規定とは、木造住宅が必ず行わなければいけない構造安全性確認です。「壁量計算」、壁の配置バランス「四分割法」、耐力壁両端柱の柱頭柱脚の接合方法「N値計算」の簡易計算のほか、仕様ルールがあります。四号建築物は必ず仕様規定の簡易計算と仕様ルールのチェックを行います。
四号建築物の場合、仕様規定だけではなく、性能表示制度 耐震等級設計や構造計算(許容応力度計算)を行っても全く問題ありません。というよりも、ぜひ構造計算を行ってほしいところです。
「構造計算は木造三階建てで行うもの」という思い込みは捨てましょう!
木造二階建ての四号建築物でも構造計算を行ってください。
構造安全性確認の項目
次は、構造安全性確認の項目についてです。
図のように大きく分けて3つの検討を行っています。
■壁量計算等
壁量の計算、壁の配置バランス、柱頭柱脚の接合、水平構面など、主に水平力(地震力・風圧力)に対する安全性確認を行います。
■部材の検討
木造住宅の骨組みである柱や梁の断面算定などを行います。
■地盤・基礎の検討
上部構造を支える基礎と地盤の検討を行います。
構造安全性確認方法と項目の一覧
構造安全性確認方法と検討項目を一覧にしてみました。
構造計算(許容応力度計算)と性能表示制度 耐震等級設計は、壁、部材、地盤・基礎と全て一通りの計算、検討を行います。
しかし、仕様規定は耐力壁に関する計算、検は行いますが、部材、地盤・基礎に関しては仕様ルールの確認のみで、計算、検討は行っていません。
仕様規定は木造住宅全体の構造安全性確認ができていないということを認識してください。
柱や梁の部材、基礎・地盤については別途、構造安全性確認を行うようにしてください。
Writer
佐藤 実(さとう みのる)
株式会社M’s(エムズ)構造設計 代表取締役社長/「構造塾」塾長
学生時代から構造を志し、社会人で鉄骨造や鉄筋コンクリート造の構造計算を勉強する。阪神淡路大震災が起こり、構造計算をしていない木造住宅が軒並み倒壊している現場を目の当たりにし、「このような惨劇が二度と起きないよう日本中の木造住宅を地震で倒壊させない!木造住宅の構造計算をしよう」と決意。
現在は住宅をつくる側から、構造設計する側へ完全移行するため「㈱M’s構造設計」を設立し、構造安全性に対する知識を持ち、構造計算できる技術者が増えることでもっと安全な木造住宅がたくさん増えると考え「構造塾」を設立。現在、会員数は約1000名。
ダイエットのランニングがきっかけでマラソン大会、トライアスロンに挑む塾長兼スポーツマン。
株式会社M’s(エムズ)構造設計 ⇒ http://www.ms-structure.co.jp/