2017.11.02 Writer:

#002 M’sコラム 木造住宅の耐震性能について考える テーマ「木造住宅も構造計算に必要な荷重をイメージする」

構造計算の必要な荷重とは

 木造住宅の構造安全性を確認するために行う構造計算は、建物に様々な荷重(外力)が作用することを想定し、安全性や快適性を計算という手法で確認するものです。

構造計算に用いる荷重とは以下の通りです。

【水平荷重】

■地震力

■風圧力

 

【鉛直荷重】

■固定荷重

■積載荷重

■積雪荷重

 

例えば、地震力は建物に対してどの程度の「力」が作用するのかというと、構造計算(許容応力度計算)の場合、耐震等級1(建築基準法で定める耐震性能)で建物の重さの0.2倍の「力」が横方向に作用します。

わかりやすく説明すると、木造住宅の重量が100トンだった場合、地震力は100トン×0.2=20トンの地震力が横方向から建物を押すことになります。この横方向から押す力に対して建物が揺れて変形したり倒壊しないように耐力壁等の設計を行います。ちなにみ耐震等級3は耐震等級の1.5倍の耐震性能なので、100トン×0.2×1.5=30トンの地震力に対して耐力壁等の設計を行うことになります。

*建物の構造や形状により建物重量に対する地震力は変わります。

*建物重量はわかりやすくするための数値です。

 

次に積雪荷重についてイメージしてもらいます。

雪が多く降る地域は多雪区域として指定されており、屋根に積雪荷重がある状態で構造計算を行います。雪の重さの影響で、建物に作用する地震力は増加します。また、柱や梁の部材寸法も雪の重量により大きくなります。

では、この積雪荷重どのくらい重いのかというと、多雪区域の積雪荷重:1m×1mで厚さ1cmの雪は3kgの重さがあります。

雪の量が1m(100cm)だとすると、1m×1mで3㎏なので、3㎏×雪の高さ100cm=300㎏/㎡となります。

しかし、一年中屋根の上に雪はないため、構造計算では雪の重量300㎏/㎡×0.7=210㎏/㎡として計算をします。

この屋根に乗っている雪の重量210㎏/㎡をイメージしてもどの程度の重さか「ピン」と来ないと思います。

そこで、イメージしやすく例えてみましょう。

体重が重いといえば力士、現役力士で高立(たかりゅう)が体重約210㎏。ちなみに現役力士体重ランキング2番目の重さです。

(横綱白鵬は体重約160㎏です)

(力士 高立)

この、高立が座るとたぶん1㎡くらいとすると、積雪1mの雪は高立が屋根いっぱいに座っている状態です!想像するだけで恐ろしい重さであることがイメージできると思います。

積雪2mの地域では、高立が二段重ねです!

こんな風に、構造計算で用いる荷重は、イメージしていくと構造計算なしに安全性は確認できないことが理解できると思います。

 

Writer

佐藤 実(さとう みのる)
株式会社M’s(エムズ)構造設計 代表取締役社長/「構造塾」塾長
学生時代から構造を志し、社会人で鉄骨造や鉄筋コンクリート造の構造計算を勉強する。阪神淡路大震災が起こり、構造計算をしていない木造住宅が軒並み倒壊している現場を目の当たりにし、「このような惨劇が二度と起きないよう日本中の木造住宅を地震で倒壊させない!木造住宅の構造計算をしよう」と決意。
現在は住宅をつくる側から、構造設計する側へ完全移行するため「㈱M’s構造設計」を設立し、構造安全性に対する知識を持ち、構造計算できる技術者が増えることでもっと安全な木造住宅がたくさん増えると考え「構造塾」を設立。現在、会員数は約1000名。
ダイエットのランニングがきっかけでマラソン大会、トライアスロンに挑む塾長兼スポーツマン。