2018.06.28 Writer:

木造住宅の耐震性能について考える その6 テーマ「大阪北部地震について」

大阪北部で発生した地震被害

 6月18日午前7時58分ころ、大阪府北部を震源とする地震が起きました。最大震度6弱、地震の規模を示すマグニチュード(M)は6.1、震源の深さは10kmと比較的浅いところで発生した地震でした。
 建物が倒壊する被害はなかったようですが、ブロック塀の倒壊、お寺の門の倒壊、煙突の倒壊の他、屋根瓦の落下なの被害が見られます。特にブロック塀の倒壊では、通学途中の幼い命が奪われるという悲しい事態も発生しました。
 倒壊したブロック塀は、建築基準法を満たしていない危険なブロック塀で、数年前には防災の専門化がブロック塀の危険性を指摘していたにもかかわらず、素人が打診検査で安全と決めつけ対策もせず、今回の倒壊被害へと繋がってしまいました。

ブロック塀被害は今に始まったことではない

 ブロック塀が倒壊して人命が奪われる被害が大きく取り上げられたのは、昭和53年(1978年)の宮城県地震です。あれから40年も経っているのに、まだ危険なブロック塀が放置されていたり、新設されている状況です。

 どうしてこのようなことが続くのか・・・。
 
いくつかの原因が考えられます。
①そもそも、地震被害を他人事に感じていること。
各地で大きな地震が起きていても、自分の住む場所では起きないという、根拠のない思い込み。怖いこと、いやなことは自分にはふりかからないと思いこみたい心理が働くのは当然です。しかし、それでも地震は襲ってきます。なので、住宅の耐震性能を高くする、家具が転倒しないような措置をするなど、防災に対する備えは必須です。

②地震が起きても被害は自分自身の責任だという思い込み。
地震被害を考えるとき、多くの人は、自分の住宅が倒壊しても死ぬのは自分、自己責任のように思いこんでいます。これは大きな間違いです。ものすごく広い敷地に建つ住宅であれば自分自身の敷地内で家は倒壊するでしょうが、多くの倒壊した住宅は道路にはみ出し、道路を塞ぎます。そして、避難する人、救助する人の邪魔をして被害が拡大して行きます。

③のど元過ぎると忘れてしまう。
 これもよくあることです。今回のブロック塀被害もまさにこれです。地震直後は、耐震性能に敏感になりますが、あっという間に耐震に関する意識は薄れ、耐震性能は忘れ去られて行きます。

今後どうするべきか

 地震大国日本、いつどこで大きな地震が起きるかわかりません。このことを常に忘れず、耐震に対する意識を常に持ち続けることが大切です。
 ホント、これしかありません。

Writer

佐藤 実(さとう みのる)
株式会社M’s(エムズ)構造設計 代表取締役社長/「構造塾」塾長
学生時代から構造を志し、社会人で鉄骨造や鉄筋コンクリート造の構造計算を勉強する。阪神淡路大震災が起こり、構造計算をしていない木造住宅が軒並み倒壊している現場を目の当たりにし、「このような惨劇が二度と起きないよう日本中の木造住宅を地震で倒壊させない!木造住宅の構造計算をしよう」と決意。
現在は住宅をつくる側から、構造設計する側へ完全移行するため「㈱M’s構造設計」を設立し、構造安全性に対する知識を持ち、構造計算できる技術者が増えることでもっと安全な木造住宅がたくさん増えると考え「構造塾」を設立。現在、会員数は約1000名。
ダイエットのランニングがきっかけでマラソン大会、トライアスロンに挑む塾長兼スポーツマン。

株式会社M’s(エムズ)構造設計 ⇒ http://www.ms-structure.co.jp/