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#010 M’sコラム 木造住宅の耐震性能について考えるコラム 「四号特例について」
四号特例ってなに?
そもそも四号特例とは何か?
木造二階建てなどの小規模な建築物を四号建築物と呼びます。これ築基準法第6条第1項にて、建築物を構造種別、規模や用途などで一号から四号に分けています。
この、四号に当たる建築物を四号建築物と呼んでいます。
木造の場合、
- ・数が二階建てまで(二階建て、平屋建て)
- ・延床面積500㎡以下(500㎡含む)
- ・最高軒高9m以下
- ・最高高さ13m以下
と、木造住宅の大半は四号建築物です。
この四号建築物は、建築基準法で構造安全性確認方法が「仕様規定」として規定されています。壁量計算や四分割法、N値計算ほか、仕様ルールにて安全性を確認する必要があります。
この仕様規定は、建築士が設計を行う場合、確認申請時に計算書等が不要となります。
これが、いわゆる四号特例(建築基準法第6号の4に規定)です。
四号特例は、仕様規定の確認免除ではなく、確認申請時に計算書や関係図書の提出義務の免除(図書省略)です。
四号特例の問題点
四号特例の問題点は、確認申請時に計算書や関係図書の提出義務がないため、仕様規定の確認不要と勘違いしている建築士が多いことです。
よって、木造住宅の設計時に、壁量計算や四分割法、N値計算を行わずに施工しています。とても危険なことです・・。
四号特例廃止の動き
四号特例の勘違いにより、四号建築物の耐震性能不足は多数あると思われます。
約10年ほど前の姉歯事件の際、耐震性能不足の四号建築物が問題視され、四号特例廃止が動きだしました。
しかし、廃止直前に取りやめなり、今現在も四号特例は生き続けています・・・。
当初、四号特例廃止が行われなかった理由はいくつかありますが、大きく取り上げられて理由は、「多くの建築士が特例廃止に対応できないため、住宅の着工戸数が減る」とのことでした。
特例廃止に対応できない建築士とは、壁量計算、四分割法、N値計算等できない建築士のこと、耐震性能を建築士なのに確認できないということです。
そして、耐震性能不足または耐震性能不明確な住宅でもいいから着工戸数を減らさない方が良い、とも聞こえます。
こまったものです。
しかし、これは国土交通省を責めるべきことではありません。
四号特例を勘違いしているのは建築士なのですから、建築士が考えを改めるべきことです。
高速道路で事故を起こした運転手が、
「高速道路という制限速度の高い道路をつくったから事故を起こしたんだ!制限速度を下げろ!」って言っているのと同じ。
問題は、建築士なのです。
四号特例の問題、何とかしたいものです。
Writer
佐藤 実(さとう みのる)
株式会社M’s(エムズ)構造設計 代表取締役社長/「構造塾」塾長
学生時代から構造を志し、社会人で鉄骨造や鉄筋コンクリート造の構造計算を勉強する。阪神淡路大震災が起こり、構造計算をしていない木造住宅が軒並み倒壊している現場を目の当たりにし、「このような惨劇が二度と起きないよう日本中の木造住宅を地震で倒壊させない!木造住宅の構造計算をしよう」と決意。
現在は住宅をつくる側から、構造設計する側へ完全移行するため「㈱M’s構造設計」を設立し、構造安全性に対する知識を持ち、構造計算できる技術者が増えることでもっと安全な木造住宅がたくさん増えると考え「構造塾」を設立。現在、会員数は約1000名。
ダイエットのランニングがきっかけでマラソン大会、トライアスロンに挑む塾長兼スポーツマン。
株式会社M’s(エムズ)構造設計 ⇒ http://www.ms-structure.co.jp/